ゆらめく憂鬱

もったりクリームみたいな

男の子の隣で眠れない話

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こんばんは。おピンクネットストーカーのゆらめきちゃんです。

 

眠れない。学校お休みだから朝はちょっとゆっくりだったけど、今日はけっこう活動した。大事なデートだから気合い入れてお化粧したし、緊張して気疲れもしてるはず。ほどよくお酒も入って、ほどよくお腹もいっぱい。さっきまでたくさんキスしてくれて、たくさん可愛いねって褒めてくれたから、ほどよくいい気分。特有の気だるい疲労感もちゃんとある。自分のベットほどではないけど、寝心地も悪くない。腕枕してくれてるから、頭の位置もちょうどいい。彼の香水はすごく好きな香りだし、手まで繋いでくれてる。何より体温があったかい。眠れない理由なんてないはず。だけど、とにかく、眠れない。

 

眠れないので、隣を見る。男の子の寝顔って、何度見ても不思議。さっきまでわたしを口説くためにあんなにギラギラしてたのに、今はすっかりスイッチオフ。あどけなくって、子供みたい。さっきまでセットしてあった髪の毛もぺちゃんこ。だけど、しっかりした肩幅と、喉仏はわたしと全然違う。胸は平らだけど変にゴツゴツしてる。神さま、男の子を男の子に創ってくれて、本当にありがとう。あーめん。しかもこの子は、歯並びと横顔がすっごく綺麗。口元がゆるかったり、前に出てたりすると途端に冷めちゃう。口元の美しさは、ある程度習慣で作ることができるので、わたしは無意識に他人の美意識を測っているのかもしれない。嫌なやつ。

 

それにしても、みんなよくわたしの隣でぐうぐう眠れるよなあ。さすがにお金を盗んだりはしないけど、わたし、みんなが思ってるほどいい子じゃないよ。わたしが背中向けて寝たら君は後ろから抱きしめなきゃダメだし、何も言わず手繋いでくれなきゃ嫌だ。ああめんどくせ。

 

本質的にも物理的にも、わたしは男の子に勝てない。どこかで怯えているんだと思う。この人に。そんなことする人じゃない、っていう人を選んでいるし、そう思ったから一緒に寝ているわけだけど。眠れないってことは、たぶん、わたしの中の、わたしじゃない部分は、男の子を信用していない。

 

なんとかうとうとくらいしてみたいので、とりあえず目を閉じる。ゆっくり深呼吸をする。あまり回らない頭で、ぼんやり今日の反省をする。もっと脱ぎやすい靴で来ればよかったなあ、お化粧落として肌荒れてるのバレたかなあ、なんでずっと治んないんだろう、皮膚科変えようかな、 髪色ももっと暗くしてくればよかった。うーん、でも、けっこう気に入ってもらえたみたいでよかった。話し方がちょっと意外だったけど、横顔が綺麗で、遅刻もされなかった。何より、全部手慣れてる感じがたまんない。たくさんお話できて、今日は楽しかったなあ…。

 

そのまま眠れる流れじゃん。なんで眠れないの。なぜか冴えてきたわたしの頭は、余計なことをどんどん考える。来年の履修、次の髪色、読みかけの本、友達のつまんないインスタ、明日のバイト、店長お気に入りのモカ、昨日見たツイート、「付き合う」とは一体何か…。こんなこと考え始めたら止まらない。早く意識を手放したい。全然眠れない。

 

考えてみたら、男の子の隣で、満足に眠れたためしがない。どんなに好きだった子でも、どれだけ優しくしてくれた子でも、わたしは同じベッドでほとんど眠れなかった。なんとなく微睡んで、今日は眠れたかも、と時計を見たら、1時間しか経っていない…なんていうのがザラだった。

 

眠れない時間は、永遠に感じるくらい、ひたすら永くて苦痛。隣で寝ている男の子を起こすわけにいかないから、できることの選択肢が狭い。ベッドから抜け出すだけでも一苦労。とりあえずお手洗いに行ってみたり、歯を磨いてみたりする。自分の家だったら、勝手が分かっているから、カフェオレを淹れるなりアイスを食べるなりできるけど、そうもいかない時だってある。深夜とも明け方ともつかない時間に、ちっちゃい空間の中で、意識を手放せないのはわたしだけ。世界から見放されたみたいな、切ない気持ちになる。手放してないのに見放されるの、納得いかない。人生で1番退屈なんじゃないかっていうくらいの退屈と、何もできないもどかしさに襲われる。はじめはさみしくてしょんぼりしてたのに、時間が無駄に思えてきて、だんだん腹が立ってきちゃう。隣でぐうぐう寝られてるとなおさら。いびきまでかかれた時は最悪。さっきまであんなに好きだったのにな、大事にできなくてごめんね。自己嫌悪がはじまって、ひたすらしんどい。

 

ちなみにこれはクソみたいなライフハックだけど、寝ている男の子のいびきがうるさい時は、男の子を横にころんと転がすと治るよ。無理やり寝返りをうたせるイメージ。たまに起きるけど。最悪。

 

あ、もうすぐ5時だ。始発走るじゃん。どうせ眠れないから、このまま抜け出しちゃお。髪の毛梳かして、服着て、日焼け止めだけ塗って、リップさして、マスクをしたらもう完ぺき!忘れ物ないかな?この前はベルト忘れた。もう忘れない。さあお家帰るぞ。帰りにカフェ寄ってこ。今日くらいは甘いの飲んじゃお。別に君のことが嫌いなんじゃなくって、この時間が淀んだワンルームに耐えられないだけ。ちゃんと好きだよ。今日もお仕事だし、君はゆっくりおやすみなさい。ほっぺにチューだけして、玄関に向かう。

 

!!しまった。暗いのと初めて来たのとで、階段踏み外した。地味に痛いし、大っきい音が出た。

 

「…どうしたの?」

 

あーあ、起きちゃった。

 

おしまい